お金2.0は意識高い系の人向きの内容




19万部突破!いま話題の本「お金2.0」。

帯にはこんな文章が書いてあります。

仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー、評価経済・・・

「新しい経済」を私たちはどう生きるか!

最近話題のキーワードが並び気になります。

Amazonの内容紹介には

〈資本主義を革命的に書き換える「お金2.0」とは何か〉
2.0のサービスは、概念そのものを作り出そうとするものが多いので、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しみます。あまりにも既存社会の常識とは違うので「今の経済」のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象になりやすいといった特徴もあります。そして、それこそが全く新しいパラダイムであることの証でもあります。本書ではまずお金や経済の仕組みから、テクノロジーの進化によって生まれた「新しい経済」のカタチ、最後に私たちの生活がいかに変わるか、の順番に解体していきます。

Amazon :お金2.0(内容紹介)

これだけではよくわかりませんが、テクノロジーの発達による未来の「新しい経済」について書いてありそうです。

という事で、読んで見た「お金2.0」の感想について書きます。

簡単に言うと・・・

この本は現在のお金や経済は国や資産家などの中心になっている者によって管理されている「中央集権化モデル」であるのに対し、今後、仮想通貨やシェアリングエコノミーの発展とともにお金や経済の「分散化」がすすみます。

それにより価値の交換手段として仮想通貨などの様々な手段でも交換できるようになり、相対的なお金の価値(必要性)が下がる未来が訪れる。そしてその未来は資本がお金によって可視化される「資本主義」からお金に変換される前の価値を評価する「価値主義」に変わると言った内容です。

「価値主義」についてはリーマンショック以降、資本主義が疑われたと同時に出てきた考え方でそれほど新しい考え方ではありません。むしろ既視感があるぐらいです。

そこに最近話題の仮想通貨やIOT、AIなど最新のテクノロジーの内容を入れて初心者にわかりやすく教えている内容です。

なるほどと思う部分もあるのですがいくつか違和感を感じる部分がありました。

違和感①わざわざ35歳以上とミレニアル世代(35歳以下)に分ける必要性?

この本はミレニアル世代(1980年以降に生まれた世代)に向けて書かれているという事でそれ以上の年代には違和感を感じるものだと書かれています。

この本では一応ミレニアム世代より上は高度成長期時代でマインドは「お金が欲しい」「美味しいものが食べたい」「良い家に住みたい」といった「欠けているものを満たす、マイナスのところからゼロに持っていきたいという強烈な上昇志向」という昭和のステレオタイプの設定をしています。

それに対しミレニアル世代は比較的裕福になった後の世代なので、お金や出世みたいなものにモチベーションを感じにくく、前の世代のお金中心の価値観とは違い「人生の意義を持つ事が「価値」になった世代」と設定しています。

しかし、社会経験を積めばわかりますがどの世代でも新しいことに取り組む革新的な人と変化を好まない保守的な人はいます。

ミレニアル世代だからといってこのように考えている人は10%もいないと思いますし、逆に上の世代でも孫正義氏やスティーブジョブス氏など「人生の意義を持つ事が重要」だと考え生きている人は10%くらいいると思います。

あまり世代は関係ありません。

ただ作者自身(1986年生)が35歳以下であるのと同時に、この本を売りたい層である学生や社会に出たての若者たちに対し、新しい世代(ポスト資本主義)、古い世代(資本主義)の対立軸をマーケティング的に設けてわかりやすくしたかったのかなと思いました。

違和感②仮想通貨について

今後、価値を交換するのに仮想通貨が使われ、仮想通貨のみで構成される経済圏が生まれるとの事です。

これはまだ現状から飛躍しすぎていて、実現するには「お金=仮想通貨」になるときがこない限り難しいと思います。

なぜなら仮想通貨相場に参入している人を見る限り、「仮想通貨でお金を儲けたい」「億り人になりたい」と言うのが大多数であり、最終的には価値との交換ではなく、お金との交換を目的としており「お金>仮想通貨」の思考です。おそらくこの本を読んでいる人も「お金>仮想通貨」の人がほとんどだと思います。

この既存の資本主義である「価値=お金>仮想通貨」の思考がリセットされない限りは難しいです。

ただ、現在のお金は今後も価値を維持できるとは限りません。特に日本の場合、アベノミクスの失敗によるデフォルトが将来起こらないとは言い切れません。

その際日本円の価値が暴落したとき、人々はドルに行くのか、仮想通貨に行くのかわかりませんが、

もし「お金≦仮想通貨」となれば仮想通貨を信用し価値の交換を行う社会が訪れるのだと思います。

違和感③価値主義について

価値経済の到来により、お金と交換できなかった価値が交換できるようになる。

あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。

P165「第3章 価値主義とは何か?」

この本に出てくる価値を最大化している個人や企業は、中国の500万人のフォロワーがいるインフルエンサーや人気Youtube、FacebookやGoogleで働く人など一般の人から見れば親近感のわかない現在の資本主義でも活躍している人です。

Valuや著者自身が運営しているタイムバンクは個人の価値をトレードできるサービスですがそこでも価値が高いのはホリエモンと言った著名人です。

このことから新しい価値主義に変わっても現在の資本主義で強い個人はさらに強くなり、弱い個人は何もしなければ変わらず弱いままだと言う事がわかります。

これは昔から個人の価値を最大化

すればお金は後からついてくると言われており、個人の能力が高い人ほど組織からはずれ事業を自ら起こすなど現社会でも当たり前の事です。

新しい経済によるルールは今の経済のルールとマネタイズの手段が増えただけで必要な行動原理は変わらないということ隠し、あたかも新しい経済のル−ルによって変化したと錯覚を覚えさせ未来について表現するこの本は、社会に出ていない学生や意識高い系と称される人たちへのウケ狙いととられてもおかしくない内容です。

まとめ

ちょっと辛口になりましたが提灯記事を書くつもりはありません。

全体を通して浅い内容でした。

例えるなら池上彰さんの2時間番組で説明できる一般教養レベルです。

ですのでこの本はWiredや未来に関する本や一冊も読んだ事のない人や社会の実経験がない学生にはわかりやすく最適な本だと思います。

Amazonの評価を見てもよくわかっていない意識高い系の人には好意的で、仮想通貨など勉強した人には表層的と評価が2つに分かれています。

もしかしたらこの評価のわかれ方もミレニアル以前・以後の違いがあるのかも知れませんが、もっと未来の経済をわかりたいのであれば下記のような本を読む方が内容も深く参考になると思います。

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